詩/真夜中の雨音





詩/真夜中の雨音



秘めやかに
ひたすら秘めやかに


真夜中に
染み込ませるかのように
雨音は流るる


おそらくは何処ぞで
誰かさへも
聞いているやもしれぬ

それらの雨音に何を
紛れ込ませていくのだろうか


真夜中の内側    室内で
雨音の中に染め上げるのは
言いたげな声であるのか


伝えたくても
伝わらぬ声であるのか

言えぬ声の静けさが
真夜中の雨音に染まりゆく


秘めやかな視線を映した先で
滴る水はリズムを繰り返して
見知らぬ誰かさへも
同じ真夜中の雨音に
声を紛れ込ませているやもしれぬ


人の声なき無言さの
秘めやかさが
滴り落ちるかのように


描かれた夜の秘めた声だけが
アスファルトへ伝わりゆく


望むための声か
伝わりゆくための声か
伝えたくても伝わらぬ声か


それぞれの思惑を秘めて
雨音はリズムを奏でて
声代わり    それらのように
真夜中の雨音の中に
染まりこむ真夜中の雨音


君は何を伝えたかったのだろう

誰に何を伝えたかったのだろう


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真夜中に聞こえる雨音は、夜の静けさだけを物語るかのように、秘めやかに滴り落ちる。

その雨音の静けさは、誰もがあるはずの声すらも紛れ込ませていくかのようでもあり、伝えたかった声を忍ばせては、それらを聞いている人すらもいるかもしれぬ。

真夜中の雨音は静けさだけを傍らに、全てを受け入れてしまうからだろうか、声の行き先が、そこであるかのように安心感すらも描いていく。

けれども。

伝えたかった声を真夜中の雨音に忍ばせては、雨音すらも切なさを思うことだろうか。

伝えたかった声は雨音の中に忍ばせることなく、確かな証となって、視線の向こう側で確かな声と共に伝えてこそであると、真夜中の雨音すらも言うことだろうか。

伝えたかった声を幾度も幾度も重ね合わせて。
そうして伝えたかった声を。
確かな声となるものを。

雨音は聞いているやもしれぬ。
秘めやかに、ずっと聞いているやもしれぬ。
共に重なり合う声を。

秘めやかに滴り落ちる真夜中の雨音は、リズムを奏でては繰り返して。

君は何を伝えたかったのだろう。
誰に何を伝えたかったのだろう。


君は何を伝えたかったのだろう。
誰に何を伝えたかったのだろう。





【 詩/真夜中の雨音 】


秘めやかに滴り落ちる
真夜中の雨音に
君は何を伝えたかったのだろう
誰に何を伝えたかったのだろう


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【 水の琴 】鏡乃 琴禰

【 水の琴 】詩集とエッセイ 【 詩人/鏡乃 琴禰 】 《 かがみの・ことね 》

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